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 コラム 第143回      2016. 5. 30

ホワイトニングのお話

  ここ一週間は、急に暑い日が続いております。 梅雨もまだだというのに、このまま夏になってしまうのでしょうか。 気象庁の予想では、今年の夏は、例年よりも暑くなりそうだという事です。 今から猛暑対策を講じておかなければならないようです。

  白い歯がいいという傾向が、日本人の中に益々増えています。 ちょうど10年前にこのコラムで歯の色のお話に関して、3回にわたって書きました( 第23回   第24回   第25回   )。 そのころと比べて、白い歯に対する意識や材料がどのように変わってきたかを確認するために、先日講習会を受けてきました。 歯を削らずに白くする方法としてのホワイトニングの中でも、自宅で患者さん自身が行うホームホワイトニングに関する講習会でした。

  ホワイトニングには、診療室で行うオフィスホワイトニングと自分で行うホームホワイトニングがあります。 高濃度の薬品を使って行うオフィスホワイトニングは、すぐに効果が現れる反面リスクも高くなります。 これに対してホームホワイトニングは、歯科医院でマウスガードのようなトレーを作ってもらい、 これに薬を載せて、自宅で一日2時間ほど作用させて徐々に白くする方法です。 自宅で行うものですので、その薬液は飲み込んでも体に害のあるものではありません。

   少し専門的にはなりますが、日本で認可されているその薬は、どのメーカーのものも10%の過酸化尿素が主成分になっています。 過酸化尿素は、唾液中の水分や酵素と反応して、過酸化水素と尿素に分解されます。 この過酸化水素が歯の表面を漂白してくれるというメカニズムになっています。 この時の過酸化水素の濃度は口腔内消毒をするときに使う程度なので、体への影響は心配ないのです。 オフィスホワイトニングに含まれている過酸化水素水の濃度はおよそその10倍ですから、エナメル質の表面が一気に脱灰されます。 ですから歯が白くなる半面リスクが大きく、そのコントロールがとても重要です。

  10年前と比べて、ホワイトニングのメカニズム自体は変わっていませんが、施術後の歯の管理に進歩がありました。 知覚過敏を抑えるための薬やフッ化物の入った専用の歯磨き剤を必ず使い、歯の表面に起きている変化を修復することを徹底させることです。 講師の先生も仰っていましたが、ホワイトニングに際しては、何点か気を付けなければならないことがあります。 歯を白くしようとする意識はエスカレートするという事です。 ですからホワイトニングには、徹底した管理が必要です。 加えて今は、海外の高濃度の過酸化水素水の入ったホームホワイトニング剤が、インターネットで簡単に手に入りますので注意が必要です。 日本で認可されているものは効果が現れるのはゆっくりですが、歯へのダメージは軽減されています。

  いずれにしても、ホワイトニングという操作は、歯の表面構造を少し溶かし(脱灰し)光の乱反射で白く見せるわけですから、 その後の自己管理がとても重要になりますし、やってはいけない方もいます。 知覚過敏になったり、以前より茶渋等が付きやすくなったりもします。 勿論、歯を白くしたいという意識の高い方は、口腔ケアもしっかりしておられるとは思いますが、 常に歯科医と相談しながら適正なホワイトニングを心がける事が重要です。


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