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 コラム 第62回     2009. 8. 25

 流行に負けないお話


 
今年は不順な夏ですが、朝夕の風にはもう秋が感じられます。新型インフルエンザで日本でも死亡例が報告されるようになりました。この時期普通ならインフルエンザの流行は殆んどないのに、だから新型なのでしょう。このインフルエンザウィルスの脅威を感じずにはいられません。冬に向かっての警告なのでしょう。とにかく自己防衛を忘れず、手洗い、うがい、マスクの使用など咳エチケットに気を配りましょう。私たち医療関係者はマスクをすることに慣れていますが、そうでない方にはなかなか馴染みがないのかもしれません。アメリカではマスクの効果はないといわれていますが、せきをしたときの飛散防止にはとても効果があります。周りから身を守ると言うより、周りへ広げないと言う考えも大切です。抵抗力が弱っていると重症化しやすいですから、特に病院へ行くときは、必ずマスクをしましょう。

 
コラムの第8回で、初代院長からのメッセージとして―若さの秘訣―を書きました。むし歯予防のためだけに歯ブラシを使うのではなく、美容と健康増進のためにもう一工夫加えた使い方の紹介でしたが、みなさんどうぞこれを実践して免疫力を高めておいてください。口の中をきれいにすれば免疫力が高まるという事は、理解しづらいかもしれません。しかし、食物摂取や呼吸の入り口としての口腔と鼻腔は、とても汚れやすい場所でもあります。ですからここをきれいに保つという事は、咽頭から食道への道または、気管から肺への道をきれいに保つことになります。今から始めれば、今度の冬にはきっと習慣になっていると思います。

 
口の中から、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、直腸に至るまで全てが粘膜です。それぞれの部位で、目的に応じた構造を持った粘膜が、それぞれの役目を果たしています。どの部位でも粘膜の表面は粘液によって潤っていて、表面を保護しています。口の粘膜も体の表面を覆っている皮膚と同じ上皮組織ですが、引っかいただけですぐ出血するくらい薄く柔らかいのが特徴で、粘液を分泌して表面を保護しているのです。粘膜上皮の下にある粘液線から出る粘液と、唾液腺から出る粘液性唾液とが、その役目を担っています。また唾液腺で作られる唾液には漿液性の唾液といってサラサラな唾液があります。この漿液性の唾液には、粘膜を保護するためだけでなく、他にさまざまな役目をもった物質が含まれていて、いろいろな作用を担っています。主に次のような作用があります。

 
消化作用:デンプンを分解し消化を助ける
 溶解作用:味物質を溶解し味覚の促進
 洗浄作用:食べ物のカスを洗い流す
 円滑作用:発音や会話をスムーズにする
 食べ物を飲み込みやすくする
 抗加齢作用:ホルモン作用で細胞分裂を促進する
 抗菌作用:抗菌作用を持つ物質で病原微生物に抵抗する
 緩衝作用:中性度を保ち細菌の繁殖を抑える
 保護作用:歯の表面に被膜を作りむし歯を防ぐ
 再石灰化作用:酸で脱灰された歯の表面をもとに戻す

 
皆さん、唾液はこんな役目を果たしていることをご存知でしたか?コラム第17回で紹介した内科の先生もこれらの力を皆さんにもっと認識してもらいたかったのだろうと思います。よどみなく流れる唾液が止まったら、口の中の細菌バランスが崩れ、口内炎を起こし、粘膜内へ細菌が進入しいろんな病気が引き起こされます。その中にウィルスの進入もあって、新型インフルエンザウイルスの感染へとつながるのです。

 
今からでも遅くありませんから、正しいブラッシングとうがいの習慣を身につけて、健康な口腔粘膜を維持し、予想されるこの冬の新型インフルエンザの流行を乗り越えましょう。


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