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 コラム 第164回  2018. 2. 28

みなの力で

  今年は北陸地方が大雪に見舞われているというニュースが連日報道されています。 金沢の従兄弟に電話しましたら、平成に入ってから大雪に見舞われずにいた金沢も、今年は人の背丈ほどの雪が積もっているそうです。 平昌オリンピックの行われていた韓国でも連日氷点下の気温で、選手の皆さんも大変でしたでしょう。 日本人選手の活躍に一喜一憂した2週間でしたが、無事に終わって皆さんホッとしていることでしょう。

  試合後のインタビューで、「この日のために、人生をかけてきました。」と言っていた言葉に重みを感じました。 そして、皆異口同音に「自分一人の力ではここまで来られませんでした」と、自分を支えてくれたコーチ、スタッフ、 応援団、家族に感謝の気持ちを表していたことに、感動しました。 実力の伯仲した選手たちの競り合いは、データの量で勝敗が決まるそうです。 選手の癖や特徴を分析して最大限の力を発揮させる。 健康管理をしてピークを試合当日に持ってゆく。 対戦相手を予測してそれぞれの分析をする。 これらは、とても選手一人でできる事ではありません。 色々な側面から何人もの人たちのサポートがあって試合に臨んでいるのだということを、改めて教えられました。

  スポーツデンティストという分野が最近の歯科界に登場しました。 スポーツ選手が歯を食いしばって奥歯がボロボロになるという話をお聞きになったことがあると思います。 緊張したときや、力を振り絞るときには、奥歯に体重の何倍もの力が加わり、歯や周りの骨にダメージを与えます。 これを予防するために、40年ほど前からマウスガードを使う方法がとられるようになりました。 研究が進んで、硬度や厚さを個人に合わせて作製するようになり、スポーツ医学と共同で選手の能力を向上させるための分野にも広がってきています。 筋電計を使って個々の癖を分析しバランスを調整して、最大限の力を発揮させるものも作っているようです。 それとは別にスポーツ中の口腔内のけがや痛みに対応するための歯科医も求められています。 国からの要請で、2020年の東京オリンピック期間中のボランティアを歯科医師会が募集してもいます。 オリンピック期間中に選手やコーチの虫歯が悪化して痛みが出るなどして薬を出すときも、ドーピングに引っかからないものを選択しなければなりません。ですから、スポーツデンティストという分野も必要になるのです。

  1986年ロサンゼルス五輪の時に歯のトラブルで20人の日本選手が本来の力を発揮できなかったそうです。 その事がきっかけで始まったオリンピックへの歯科のサポートが、今後ますます重要になることは間違いありません。

  2020年の東京オリンピックの選手村は、ここから数分の晴海地区に建設中です。 開催に向かって、この銀座界隈も更に活気にあふれることでしょう。今からワクワクしてきました。



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