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 コラム 第148回  2016. 10. 28

秋の美術館にて

  このところ、急に涼しくなってきました。 雲ひとつない秋晴れは、気持ちを爽やかにさせてくれます。

  先日、上野の美術館に行ってきました。 上野公園を通り抜けて美術館に着くまでには、予想以上に多くの人がいて、思い思いの時を過ごしていました。 上野の山は、寛永寺を中心に歴史を感じられる、都民の憩いの場だということを改めて感じました。

  目的は知人の作品展でしたが、ついでにゴッホとゴーギャン展も観てきました。 同じ後期印象派の画家で、一時期は一緒に暮らして作品を描いていた二人ですが、風景画を明るい色使いで描くゴッホに対して、人の喜怒哀楽を表現したゴーギャン。 まったくタイプの違う画風でした。二人の作品を並べて同時に鑑賞することは、とても興味深く、面白いものでした。

  審美観というものは人によって違うもので、目指すところも求めるものも様々ですが、そこには一定の法則があるように思います。 よく耳にする“黄金比”や“白銀比”と言われるのがそれで、それらに則った構図の絵画は自然な調和と心地良さを感じます。 しかし、画家によってはそのバランスをわざと崩して、ドキッとさせようとしているものもあります。

  歯科においても、虫歯や歯周病など口腔にかかわる疾患の治療だけでなく、自然観のある口元の調和がとても重要になります。 ドラキュラのように犬歯だけ長くしたり、わざと出っ歯にしたりということは、お笑いの世界ではよいでしょうが、一般的ではありません。 全身のバランスに加えて、目鼻口の位置、笑った時の口角の位置やその時見える歯並びにも、美しいと感じる比があります。 しかし、すべてをそれに当てはめようとすると、個性がなくなってしまいます。

  私たち歯科医療に携わる者は、人を見るとき真っ先に口元に目が行ってしまいます。 電車に乗っているときなど、この人の歯をこんな風にすればもっとイケメンや美人になるのにと、じっと見てしまいます。 不審者と思われてしまうかもしれませんが、ある意味で、この時間に見る目を磨いてもいると思って、お許しください。

  たまにはこうして美術館に足を運んで、ゆっくりと自身の感性を磨く時間を持ちたいものだ。 そんなことを考えながら、つるべ落としの秋の夕暮れの中、家路につきました。


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