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 コラム 第122回      2014. 8. 28

警察歯科医会のお話


  暑さもようやく一段落といったここ数日です。 しかし、各地で大雨による土砂災害が起きて、被害にあわれた大勢の方には大変なことと、お見舞い申し上げます。 先週末に、いつもの様に警察歯科医会の全国大会に出席してきました。 今年は徳島県ということで、この大雨による影響はないか心配でしたが、全国から約500人の警察医が集まり無事開催されました。 今年のテーマは「人が受ける最後の医療」と題して、身元不明のご遺体を如何にしたら正確に速やかにご遺族のもとにお返しできるかが話し合われました。 また、大規模災害時のご家族(ご遺族)への心のケアや、ご遺体に接する救援者のメンタルヘルスに関する講演もありました。 とても共感を受けましたので、少しご紹介します。

  災害や事故で多数の死傷者が出た場合、現場ではトリアージと言って軽傷・重傷・死亡の判断を救助スタッフが行います。 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、自力で歩ける人は緑タッグ、意識があっても歩けない人は黄色タッグ、 直ちに治療が必要な人は赤タッグ、死亡あるいは生存の見込みがない人は黒タッグに振り分ける作業です。 これは、搬送先の病院の選考や搬送方法の選考で混乱が起きないようにして、助けられるヒトを一人でも多くするためのもので、 医療従事者は、このトリアージ訓練を日頃から行っています。

  しかし、ここで黒タッグとされた方のご家族の疑問が、今回紹介されました。 うちの息子は黒にされたために、すぐに搬送されることなく亡くなってしまったのではないかと、疑問を持ったそうです。 この時、ご家族の納得のいくような説明や心のケアをするスタッフが、必要になるのだそうです。 米国には、DMORT(Disaster Mortuary Operational Response Team)という医師・歯科医師・看護師・検視官・法医学者などからなる 災害死亡者支援チームがあって、災害現場や遺体安置所に急行し、ご遺体の識別や修復、ご遺族への連絡と心のケア、検視検案を行っているそうです。 このたびこの日本版ともいえる日本DMORT研究会の活動が紹介されました。福知山線脱線事故から、 なぜ黒タッグを付けられたのか詳細な理由を説明すると同時に、納得するまで話を聞き寄り添うことや、 警察・消防・自衛官・医師・歯科医師など弱音を表に出せない職種の救助支援者へのメンタルケアを日本人の特有な感情に考慮して行っているそうです。

  このような心のケアが必要だという事は聞いてはいましたが、東日本大震災の時にもこのメンバーが活躍したそうです。 しかしこの時も、特に警察官・自衛官からは、自分たちは慣れていますからご心配なくと、言われたそうですが、 後日彼らの何人かが自殺したと聞き、二度とこんな思いはしたくないと思い、平時からの啓発宣伝活動を頑張っているそうです。 ご興味を持たれた方は、この研究会のホームページを開いてみてください。 日本DMORT研究会 (ページの一番下に、「災害支援者メンタルヘルスマニュアル」と 「家族(遺族)支援マニュアル(東日本大震災版)」が収められています。)


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