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 コラム 第119回      2014. 5. 28

治療椅子のお話

  緑がとてもきれいな季節となりました。 新しい治療椅子にも慣れ、患者さんからも大変喜ばれております。 以前のものと比べ、器具一つ一つに進歩が感じられます。 歯科治療では、患者さんは治療椅子に長時間座っていることが多く、座り心地の良いクッションとポジションが求められます。 日本人が椅子に腰掛ける生活になったのは、明治時代になってからのことなので、太古の昔から椅子の生活をしている欧米の椅子の座り心地に、 日本の椅子はどうしても追いつけない部分がありました。

  ここで歯科の治療椅子の歴史を紐解いてみましょう。 明治初期に来日した外国人歯科医師たちの薫陶を受け、日本の歯科医籍第一号となった小幡英之助先生が、 明治8年にここ銀座の地で開業したときに考案したものが、国産第一号の歯科治療椅子だとされています。 外国製の歯科の治療椅子は、体全体が包み込まれる安定感があり、体の大きい人には良いのですが、特に日本人女性など小さな体には逆に座りづらいものです。 日本製の歯科治療椅子は、椅子の座り心地よりも歯を削る回転切削器具の性能開発に力を入れていました。 そこに床屋さんの椅子作りをしている会社が、歯科の治療椅子作りに参入して座り心地を重視したものを出しました。 私はこの会社が歯科の治療椅子作りに参入してくれたおかげで、今では日本の歯科治療椅子が日本人の体に合ったすばらしいものへと進化したと思っています。 以前にも書きましたが、歯科の治療椅子は死刑台の電気椅子のようだ、と言っていた患者さんのことを思い出しました。 その方がご存命中に今回の新しい椅子に座っていたら、そんな言葉は出てこなかったのではないかと思います。

  治療中は、スタッフ一同座り心地のほかにも、常に患者さんの変化に気を配りながら、治療を快適に受けていただけるよう心がけています。 お気づきのことは、ご遠慮なく何でもおっしゃってください。 そのことが次の治療のとき大変役に立ちます。


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