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 コラム 第111回      2013. 09. 30

母校のお話

  一気に秋がやってきました。 暑さ寒さも彼岸までというとおり、お彼岸が過ぎてから涼しい日が続きます。 実りの秋、天高く馬肥ゆる秋と申します。食べ過ぎに注意して過ごしたいと思います。 また秋は、四季の中で気持ちの良い季節です。開放的な気分になる夏に対して、秋はなぜか身の引き締まる感じを持ちます。 この季節に母校の東京歯科大学は、およそ30年ぶりに千葉県の稲毛から発祥の地水道橋に戻って来ました。 教授陣は、まさに身の引き締まる思いで、新生東京歯科大学を牽引してゆこうとしていることでしょう。

  このタイミングで、中央区で開業する東京歯科大学出身者の集まりがあり、母校の教授方の講演を連続して聞くことができました。 テーマは、「インプラント治療の現状と今後」と、「歯牙および歯周組織の再生治療の現状と展望」についての興味ある講演でした。

  インプラントに関しては、今年に入って週刊ダイヤモンドやNHK特番で取り上げられ、 マイナスイメージが強調されてしまったことがとても残念であると話されていました。 本来将来性の高い治療方法が、こうしたことで今後の進歩が滞らぬようにしたいということでした。 骨と合体させるタイプのインプラント治療の成功率は高くなっているといわれている反面、なぜ訴訟のケースが多いのでしょうか。 骨に穴を開けてインプラントを埋め込む過程で、血管を切って大量出血させたり、神経を傷つけて麻痺を起こさせたりといった重大事故が多いからなのだそうです。 患者さんの骨の状態をよく調べてインプラント治療の適応となっても、年齢や生活環境なども加味して、総合的判断の基に治療を進めるべきだということです。 私がいつも言っている、当たり前のことを普通に実行することが見直されてきたのだと嬉しく思いました。

  一方、歯や歯周組織の再生に関する研究は、まさに日進月歩で臨床応用も夢物語ではない時代となってきたようです。 但しこれも以前のコラムにも書きましたように、いくら自分の体の一部の細胞を使用したものとはいえ、 人工的に培養したものが、生体内でどのように変化していくのかは未知の世界です。 培養された組織の急速なエイジングと、癌化率の高さが解決されない限り、臨床応用をするべきではないということでした。

  インプラントの講演をされたのは、東京歯科大学水道橋病院長で、病院長就任の挨拶では、 「患者さんに満足していただけるような病院を目指すために何をすべきか職員全員で一緒に考えてゆきましょう」と話されたそうです。 再生医療の話をされたのは、学生が専門課程で最初に学ぶ組織病理学の超微細構造学講座の教授でした。 この先生は、学生の目の輝きがご自身の活力だそうで、一生懸命学問することが大好きですと仰っていました。 こんな素晴らしい先生方が在籍する母校の将来に期待を持ちました。 同時に改めて母校の校風がこの先生たちを育ててくれたのだと感謝の思いです。そしてそのスピリッツは、私の中にも流れていることを嬉しく思っています。


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