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 コラム 第106回      2013. 04. 28

新歌舞伎座に学ぶお話

  3年間の新築工事が終わり、今月2日に新しい歌舞伎座がオープンしました。 人の流れが戻り、町が活気に溢れ、和服姿で行き交う人も増えてさらなる彩を添えています。 柿落しの初日は、あいにくの雨模様でしたが、関係者からはむしろお清めの雨と言って喜ばれていました。 診療所の窓から見える瓦屋根の作りは、工事前の物とほとんど変わらず、後ろにそびえる29階建てのタワービルがなければ分からないくらいです。 これ程までに忠実に以前の姿に戻すのには、並々ならぬ苦労があったことと思います。

  歯科治療においても、特に前歯の治療のときには、以前のままをイメージして新しくするか、 せっかく新しいものを入れるのであれば、イメージチェンジをするかで設計から替わります。 上の真ん中の歯が一本だけ欠けて、どのような治療にするかを患者さんとお話しする時に、先ずそのことから始まります。 欠けた原因を考えながらその歯だけを治す場合は,両隣とその下の歯にマッチするような歯を作るようにします。 また、歯が欠けたことをきっかけに色や形を変えたいとする場合は、その歯だけだと違和感になり、 周囲とのバランスを考慮して数本にまたがった治療が選択されます。 人の前歯は、真ん中から左右に中切歯、側切歯、犬歯と並んでいますが、これらが出ていたり引っ込んでいたり、 下の歯が上の歯の外にはえていたりと人それぞれの個性を持っています。 成人の場合、矯正治療で歯並びを治すほかに、歯を削ってその上に冠をかぶせて歯並びを改善する方法もあります。 この方法だと矯正治療では変えられない歯の大きさや形、色を変えることが出来ます。 歯を削る事に抵抗がある場合は、矯正治療が良いと思いますが、周囲とバランスのとれた歯を作る事は、治療期間や予後の事を考えても良い方法だと思います。

  新しくなった歌舞伎座を見て、私は改めてその気持ちを強く持ちました。 周囲と調和の取れた新しいものは、やはり美しく感じます。 3年間の工事を毎日眺めながら、基礎工事の大変さと重要性、古来の伝統を生かした最新技術、違和感の無い変化など、 歯科治療に通じるものを沢山学ばせていただきました。 毎年心を和ませてくれる、診療所の窓から見えるハナミズキもちょうど満開で、心を和ませてくれます。 良い季節を迎え、ワクワクしたエネルギーをもらって診療にも意欲がわいてきます。


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