ホームへ > 院長のコラム最新号へ

 コラム・バックナンバー・インデックス

 コラム 第94回      2012. 4. 27

歯の破折のお話2

  まだ時折肌寒い日もありますが、桜も終わりようやく春がやってきました。 ハナミズキの花もようやく開き、例年よりは遅いですが今満開です。 この季節になるといつもの年と同じように、ダークスーツを着込んだ若者が、集団で街を歩いています。 一目で新入社員だとわかる彼らは研修会に向かうか、或いは研修会を終え歩く姿が、一様に目を輝かせうきうきしているように見えます。 昨年は、震災直後であまり目立ちませんでしたが、今年はその光景を毎日のように見ています。

  さて先月は、寒さで歯を食いしばると歯根膜が圧迫され、歯を支える骨が緩んで吸収されて、 最後にはグラグラになって歯が抜けてしまうお話をしました。 今月は、そこに至る前、まだ歯槽骨がしっかりと歯を支えている段階で起きる、厄介な歯の破折のお話をしましょう。

 何の痛みも無く普通に食事をしていたとき、突然歯の激しい痛みに襲われた事はありませんか。 何が起きたのかわからず頭を抱え込むほどの痛みが、一分から数分続いてスーと消えてしまう痛みです。
  しかし、その後も噛み合わせるとその場所が一番初めにぶつかり、違和感を覚えます。 そのまま過ごしていると、違和感も消えてしまいますが、歯が少し揺れるようになります。 すると今度は歯茎がブヨブヨした感じになり、根の奥に重い鈍痛を感じ始めます。
  これはいけないと必死に歯ブラシをすると歯茎はきれいになるのですが、いつもブラシに臭いを感じ尋常でない変化を予感します。 噛んだときの痛みや違和感を感じながらこんな状況を繰り返していくうちに、歯茎から膿が出てくるようになり、 激痛ではないけれども鈍痛が続いているという事で、そろそろ歯科で見てもらったほうがいいかなとなり、来院されることになります。

  この状況で何が起きているのかをご説明しましょう。歯にひびが入ったとき最初に感じた激しい痛みが起きます。 歯髄(俗に言う歯の神経)のある歯と、治療によって歯髄をとった歯とでは、前者のほうが数倍も痛みを感じます。 後者の場合、全く痛みを感じない場合もあります。
  次に感じる歯が浮いた感じでも前者の場合かなりの痛みを伴うこともあります。 歯髄がある場合には、ここに炎症がおき痛みを感じるので、大体の場合ここで歯科受診となります。 ひびが入った段階だと、根の治療をして冠をかぶせれば、またもとの様に使える状態になります。 歯髄がない歯にひびが入った場合は、ほとんどの場合そろそろ見てもらったほうがいいかなという時期まで放置することが多く、 このときにはかなりの確率で歯を抜かなければならない状態になってしまいます。

  歯の根の破折は、通常50〜60歳代から起きる事が多く、顎の筋肉が発達していて硬い食物のお好きな方は、要注意です。 いつも申し上げることですが、定期健診を受けて日頃から歯の事に気をつけていれば、ここに至る前に早めの対応策が出来ます。 何よりも、違和感を感じたときには、我慢せず気軽にご相談ください。


4月の歌舞伎座 (2012/4/18)

このページの上へ↑

Copyright(c) 2004-2020 Katayama-shika. All rights reserved.