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 コラム 第91回      2012. 1. 27

歯の破折のお話

 今年に入って、厳しい寒さが続くのと、異常なまでの乾燥で、呼吸器をやられる方が多いと聞きますが、 皆さんには良い新年をお迎えになられたことと思います。
 昨年の正月にはダイエットをしているお話を書きました。 腕立てと腹筋はずっと続けていますが、お腹回りは一年たっても変わらずです。ご飯の量を減らした分、お酒の量が増えたせいなのでしょうか。 でも昨年の人間ドックの数値は、一昨年より数段よくなっていました。 めげずに今年も続けてゆきますが、毎年歳をかさねてくると、若いときには考えもしなかったことが気になりますので、無理はしないようにしたいと思っています。

   歳を重ねて無理が利かなくなるのは、歯も同じです。 若いときと同じようにしていると、思いもかけないトラブルを起こすことがあります。
 中でも厄介なのが、歯の根の破折です。 食器のふちが欠けるように、噛む面のエナメル質がバリッと欠ける事はたまにあることです。 欠けた部分が小さな範囲なら、研磨するか樹脂を充填すればよいですし、大きな範囲でも周りを削って冠をかぶせれば元に戻せます。 しかし、歯の根が割れるのは、これとは違い殆んどが元に戻せない状態になってしまいます。

 これは年とともに歯の結晶化が進み、若いときより硬くなるために、歯がもろくなって起きるトラブルなのです。 冠の先端からひび割れが始まり、ガラスのひびが徐々に広がってゆくのと同じように歯の根の先に向かって徐々に進行してゆきます。

 咀嚼時に違和感を感じて来院されても、初期にはレントゲンを撮っても写ってこないことが多く、一過性の負担加重による歯根膜炎との診断で 経過観察しましょうということがよくあります。 その歯に負担をかけないように気をつけて生活していると、時々違和感を持ちながらも順応してきます。 数ヵ月後から数年後、同じ場所に今度は痛みや腫れが起こってきます。 今度レントゲンを撮ってみると本来一本の根が割れて分離して二本の根のように写ることがあります。

 こうなるともうこの歯は、抜くしかなくなります。 歯のレントゲン写真は、歯の内側にセンサーを置き、頬の外から歯をはさむようにして撮りますので、頬の側から舌の側に向かう破折は写りますが、 前方から後方に向かう破折は写りません。 何が原因で痛みや腫れが起きているのか、診断の難しいところとなります。 根の破折がまだひび割れの段階ならば、噛み合せの調節や、接着剤で進行を止めるなどの方策があります。 噛むたびに違和感を感じたり、時々激痛が走るなどの症状が出たら、早めに受診して診察を受けるようにしましょう。

 普段何も気にせず使っている歯ですが、萌えてから毎日、何十年も使い続けなければならないものなので、いたわって大切に使いましょう。 今年も定期的に検診を受けて、トラブルは小さいうちに解決するようにしましょう。 皆さんの歯が長持ちするようにお手伝いしますので、今年もどうぞよろしくお願いします。


1月の歌舞伎座 (2012/1/20)

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