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 コラム 第82回     2011. 4. 27

震災その後

  あれから一ヶ月が経ちました。なのに、被災地の状況はまだ何も変わっていません。 まだ10,000人を超す行方不明者が居られ、捜索活動も身元確認も毎日行われています。 津波の難を逃れ生きのびた方が、避難所で亡くなられるケースも少なからず起きているそうです。 普通の暮らしが出来ていれば、命を落とさずに済んだかもしれない方々も多く、残念でなりません。 そのほとんどは、ご高齢の方々で、誤嚥性肺炎によるものだそうです。

  岩手県に住む私の同級生が避難所へ行ったときの話をしてくれました。想像してみてください。小学校の体育館に300人の老若男女が、間仕切りのない場所で着替える場所も無く過ごしています。テレビの画像で毎日のように見ている光景です。しかし、赤ちゃんのおむつ交換や、お年寄りのお世話もそこでやっているのです。水不足で何週間も歯を磨かずにいる人がほとんどです。画像からは分らない、入り混じった臭いの中で皆さんよく耐えていらっしゃると言っていました。

  被災地に送るための歯ブラシを、いつもお願いしているアメリカの会社に注文したところ、支援したいからと大量に送ってくれました。ありがたい事です。早速同級生の衆議院議員に託して被災地に直接持っていってもらいました。彼の話では、被災地によって状況が全く異なるのが現実で、いまだにガス、水道、電気が回復していない地域があるとのことでした。道路の寸断やガソリン不足などにより、生活支援物資すら届いていなかった地域もあったようです。せっかく集められた支援物資も倉庫に山積みになっている所もあるようです。仕分け作業や、配送先の選定で時間が必要なのもわかります。必要としている皆さんのところに、一刻も早く善意が届けられる事を祈っています。

  被災地への歯科医療、身元確認作業出動の準備はできていますが、自衛隊からも歯科医師会からも、今のところまだ待機命令のままです。被災地に行かずとも、今この場所で私に出来ることを続けたいと思っています。とかく時間が過ぎると支援の手がゆるみがちですが、これからのケアがとても大切になります。微力ではありますが、節電はもとより、口腔ケア用品の提供や、口腔ケアが如何に大切かを認知してもらうための啓発活動など歯科医師会を通して行っています。

  片山歯科医院のある南海東京ビルの一階には、岩手銀河プラザという岩手県のアンテナショップがあります。震災後しばらくは、海産物など多くの商品棚は空っぽで、「津波の影響で商品の入荷の見込みが全くありません」との寂しい張り紙がしてありました。ところが、今では以前のようにたくさんの品物が戻ってきました。今度は、「津波で加工場は流されてしまいましたが、品物は冷凍庫に残されていて何とかお届けすることが出来るようになりました。漁が再開されるまで在庫品をお届けします。必ず復活します。」という力強い張り紙に変わっています。

  へこたれないぞ、と言う気持ちがずっと継続するよう、復興への環境整備の支援が望まれるところです。


4月の歌舞伎座  (2011/4/15)


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