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 コラム 第68回     2010. 2. 26

歯科器材のお話!

 きびしかった寒さも峠を越し、早咲き桜の蕾もほころんでいます。診療室の窓から見える歌舞伎座の賑わいも、残すところあと2ヶ月となりました。昨年発行された「写真集 歌舞伎座」(著者 安齋重男)の巻頭にある全景写真は、写真家の安齋氏が本院の窓から撮影したものです。今の歌舞伎座は、空襲で焼けた後修復され、もう60年以上の歳月が流れました。外からの眺めは重厚で、コンクリートジャングルの銀座にほっとする和の空間を与えてくれる存在ですが、中身はやはり老朽化が見られ、建て替えもやむなしといったところです。次にはどんなものが出来るのかとても楽しみです。しかし、高層ビルになると、診療室から見渡せた青空はもう見えなくなると思うと少し残念なところもあります。

 歯科の分野でも新しいものと古いものとがいつも入れ替わっています。前にも書きましたが、新しいものが全て良いものだとは限りません。しかし、良いものでも、一部の歯科医にしか使われていないものだと、材料屋さんは取り扱わなくなって、メーカーも注文が少なくなると製造中止をすることになります。

 私は、快適な義歯を作るように、様々な細工を施します。歯に引っ掛けて義歯が落ちないようにする金属の留め金が、お話をしているときや、笑ったときに外から見えにくいようにする工夫もします。このときによく使用するのが、歯科用精密アタッチメントという義歯と歯を連結する装置です。様々なタイプのアタッチメントが多くの先人たちによって開発され、現在も改良が加えられています。アタッチメントは大きく分けて、残っている歯を加工して冠をかぶせ、冠の中に用いるものと、冠の外に用いるものとがあります。また、歯に負担がかかり過ぎないようなクッション性を施したものもあります。アタッチメントは、歯と義歯に細工をするほどの大きさですので、ミクロンの単位での精度が要求されますし、お口の中で使用するものですから、安全で変質しないプラチナと金の貴金属の合金が使われています。こういった精密加工品は、昔からスイスのメーカーが得意とするところでした。本院も父の代からスイス製のアタッチメントを義歯に組み入れて、患者さんのお口の中にパチンといって納まるようなものを作ってきました。

 ところが最近、このアタッチメントの使用に問題が生じています。ひとつは、日本の薬事法の改正によって、このような歯科材料品にまで規制の範囲が広がり、輸入するためには業者が厚生労働省から承認番号を貰わないとならなくなったことです。もうひとつは、アタッチメントを用いた治療をする日本の歯科医が少ないことです。そんなことの影響で、今使いたいアタッチメントがあっても、日本では手に入りにくくなってしまいました。粗悪な物を提供されても困りますので、このような規制は仕方がないことかもしれません。しかし、良いものは今でも流通していますし、設計の段階で工夫して使用しています。製作過程でも精度の要求される難しい仕事になりますが、本院では院内で全ての技工物をおつくりしていますので、長年の経験を生かして、快適な義歯を提供できるよう励んでいます。


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