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 コラム 第65回     2009. 11. 27

ちょっと気になる話

 ここ一ヶ月くらいの週刊朝日に、歯科インプラント治療の特集が組まれていました。患者さんが知らせてくださったので全部読んでみました。インプラント治療を受ける際に認識しておかなければならない注意事項として、この特集記事は有意義なものであったとは思います。
 しかし、インプラント治療の手術に於けるリスクの話ばかりでした。私たちの体は、年齢や病気や思わぬ怪我などで変化するものです。でも埋め込まれたインプラントは変化しない人工物で、人体にとっては異物です。手術が無事成功してもその後はどうなるのかという事など、私が憂慮する点に触れていなかったのは残念でした。

 記事にも書かれていましたが、医療の場ではインフォームドコンセント(説明と同意)が欠かせないものになっています。病院に行くとどんな小手術でも、最近は必ず同意書にサインを求められます。手術には、様々なリスクが伴います。術者は想定されるリスクを回避しつつ、万全の体制で、細心の注意を払って手術をするわけですが、想定外の事は、起こりうることなのです。
 私も本院で診療を始めたころには、病院勤務のときのように、この手術は何のために必要で、やらないとどうなるかの説明の後に、手術の際血管を切って大出血したり、神経を傷つけて麻痺が残るなどの事態が起こりえます、といった説明をしていました。
 しかし、ある患者さんに、そんなこと言われたら怖くて手術受ける気がなくなるからそこまで言わないで欲しいと言われました。先生を信頼しているから、何があっても大丈夫だからバサッとやって欲しいとのことでした。
 確かに患者さんの側に立って考えると、その思いもわかります。「最悪の場合死に至ることも0.0000何%の確立で起こりえます」などと書かれた同意書にサインするだけで血圧が上がりそうです。
 現代社会においては、この書類がないと、実際に想定外の状況が起きた場合、術者は訴えられたら申し開きができないということのようです。そんな紙切れ一枚を、訴えられた時の自己防衛手段にしてよいのでしょうか、と考えてしまいます。

 昔アメリカで、シャワーを浴びさせた猫を電子レンジの中に入れて乾かしていたら猫が死んでしまったと、メーカーが訴えられたそうです。使用説明書にその注意書きがなかったということで、その会社は多額の損害賠償金を支払うことになって倒産してしまったという笑い話のような悲しい話がありました。
 それからは、製造者責任ということで、説明書にはずいぶんと注意書きが増えたように感じます。

 医療医術の進歩とともに治療法の選択肢も広がっています。患者さんが安心して治療を受けられるよう、私も常に情報を収集し勉強をして、分かりやすくご説明する事に努めておりますので、わからないこと知りたいことなど、なんでもどうぞご遠慮なくお聞きください。


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