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 コラム 第63回     2009. 9. 28

顎の骨とお薬のお話


 過ごしやすい季節となりました。インフルエンザ対策も必要ですが、陽の光を浴びに外へ出てはいかがでしょう。シルバーウィークには、皆さんゆっくり出来ましたでしょうか。私は、部屋の片付けや、両親を訪ねたりして、特にこれといったイベントもなく過ごしてしまいました。次のシルバーウィークは、6年後だそうですので、失敗したなとも思いましたが、心と体の休養になりました。

 さて今回は、他科で出されている薬が歯科に思いがけない副作用を起こす話を書くことにします。

 近年、骨粗しょう症や、癌治療薬として盛んに処方されている、ビスホスフォネート系(以下BP薬と略します)の薬と顎の骨の問題がわかってきました。製品名としてはダイドロネル、フォサマック、ボナロン、アクトネル、ベネットなどがあげられます。この薬は、骨の吸収を抑制して骨密度を保つ目的で使われています。内科的にはとても有効な薬なのですが、顎の骨では、まれに骨の壊死という副作用を起こすことがわかってきたのです。

 体の骨に良く働く薬なのに、なぜ顎の骨には悪影響を及ぼすのでしょうか。それは、顎の骨に特性があるようです。
 体の骨には骨を溶かす細胞(破骨細胞)と骨を作る細胞(造骨細胞)があり、常に古い骨と新しい骨が入れ替わっているのですが、顎の骨は、他の部位の骨よりも数十倍もの勢いで、破骨と造骨が繰り返されている場所なのです。まだ詳しいことはわかっていないのが現状ですが、骨の吸収を抑えようとするBP薬が、顎骨の代謝サイクルには悪さをして顎骨壊死を起こすと考えられます。

 日本での発生頻度は明らかではありませんが、海外での報告は0.1%から10%前後なので、あまり気にならない数値かもしれませんが、抜歯手術施行例では約10倍に増加するといわれています。
 このリスクをふまえ、歯科ではBP薬を使っている方には抜歯などの外科治療は極力避けることになっています。BP薬の投与を予定されている場合は、必要な抜歯などは先に済ませておくのが良いでしょう。すでに投与されていて、抜歯が必要になったときには、投薬を中止してから3ヶ月以上待たないと手術は出来ません。ですから、定期的な歯科受診で口腔衛生状態を保ち観察していくことが大切です。骨粗しょう症の予防薬として処方されていることも多いので、処方医と歯科との連携が必要でしょう。

 私も歯槽膿漏のようなリスクの高い方には極力BP薬は使わないようにお願いしています。内科など他科でお薬が処方されている方は、歯科医にお知らせいただき、BP薬を使用している方は、特に口腔内を清潔に保つよう心がけてください。

 

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