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 コラム 第61回     2009. 7. 24

山登り

  梅雨明け宣言が出たと思ったら、各地で荒天が続いています。 ここ数年は、ゲリラ豪雨という言葉が出来るほど、局地的に集中して激しい雨が降る、まるで熱帯雨林地帯のスコールに似た状況が起っています。 先日は北海道で元気な中高年の登山愛好家が多数亡くなられるという痛ましい事故がありました。 激しい雨風が高山で起ると、急激な気温の降下が起り、短時間のうちに登山者の体温を奪ってゆきます。

  最近、話題の映画「剱岳  点の記」を観ました。 なんと大変な映画作りだったのでしょう。 映画製作においては、C.Gが当たり前の時代に、この映画は俳優もスタッフも全員が実際に剱岳に登っての撮影だったそうです。 木村監督の思いは、観る者に感動を与えるものでした。 監督の思い入れは、映画が終わって流れるエンディングロールにも「仲間たち」と印されているところに如実に現れていました。 ストーリーは、日本地図完成のために前人未到の剱岳に挑む測量隊と、これに対し当時の最新の装備を導入した 日本山岳会の登山家たちとの初登頂の競争を描いたものでした。 苦労してたどり着いた山頂には、錆びついた鉄剣と錫杖や焚き火の跡を見つけて彼らより先に大昔に修験者が登っていたことを知り、 信仰の霊山としての立山を改めて知ることとなったというものです。

  この連休に富山の友人夫婦と立山へ行ってきました。 北海道の事故があったばかりなので、友人も初心者の私たちを気遣って、とても用心深くルートを決めてくれたので、楽しい山歩きが出来ました。 土曜日の夜に宇奈月温泉で合流してゆっくり酒を酌み交わし、翌朝立山駅に車を置いて、室堂へと向かいました。 途中、立山博物館に寄り、山頂で見つかったという修験者の錫杖を見学し、映画撮影に使われた場所を見たり、撮影のエピソードを聞いたりしました。 室堂に着いたときは暴風雨の真只中で、何しにこんなところまで来たんだろうと些か後悔をしました。 荒れ狂う雨風の音を聞きながら室堂山荘で一夜明かすと、輝く太陽に真っ青な空、くっきり見える山々の稜線を望むことが出来、 そしてひんやりとした清涼な空気を胸いっぱいに吸い込むことが出来ました。


  山はいい、やっぱり来てよかったと思うひと時でした。 登山家にとってこれがたまらなくいいのだろうと、つくづく感じた瞬間でもありました。 色とりどりの小さな花を咲かせた高山植物に囲まれた道を通り、途中山荘で作ってもらったお弁当を食べたりしながらゆっくり歩き、 午後2時ごろ麓の立山駅まで戻ってきました。

  今回は、友人に誘われたおかげで普段忘れかけていた自然に浸り、リフレッシュしてきたお話をさせていただきました。

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