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 コラム 第56回     2009. 2. 23

インフルエンザのお話

  今年は例年になく、ぽかぽかと暖かい日が続いたかと思うと急に寒くなって、体調を崩される方が多いようです。 これも、地球温暖化のせいなのでしょうか。 この時期太平洋側では、ほとんど雨や雪が降らず、空気はことのほか乾燥していますので、インフルエンザ・ウィルスにやられないよう気をつけましょう。
  インフルエンザと言えば、最近は映画にもなった、新型インフルエンザの大流行が話題になります。 そのときよく耳にするパンデミックとは、感染症や伝染病が世界的に大流行することを言います。 先日中央区医師会が開いた、新型インフルエンザに関する講演会を聞いてきましたので、今回はインフルエンザについてお話しましょう。>

  ウィルスは、一年中どこにでもいるのですが、低温低湿を好むので冬に活発化します。 逆に私たちの体は寒さで抵抗力が落ち、乾燥でウィルスが取りつきやすい状況にあるため、冬に流行するわけです。 感染経路は飛沫、接触感染ですから、うがい、手洗いの励行と出かけるときは、マスクをするのが簡単な予防法になります。 しかもワクチンが在りますので、流行の前に接種するとなお良いでしょう。 罹ってしまった場合でも、タミフルやリレンザといった抗ウィルス薬を適正に処方されれば、じきによくなります。

 インフルエンザは人だけでなく鳥豚馬にも見られ、近年鳥インフルエンザが問題になっています。 これに感染した鳥は、2日で100%死んでしまうというウィルスです。 和歌山県や宮崎県の養鶏場でも発生しましたが、どちらも鳥だけの感染で済んでいます。 ところが東南アジア特にベトナム、中国、インドネシアの地域では、養鶏所で働いていた人と、その家族などに感染者が出ています。 つまり感染した鳥や、感染した人に近くで接触した人が感染したものでした。 38℃以上の高熱を発するのは通常のインフルエンザと同じですが、それに加え急激に進行して呼吸不全を起こすそうです。 ですから通常のインフルエンザでの死亡率が0.01%以下なのに対し、このウィルスに感染した場合、60〜80%が死に至るという結果につながるのです。 しかしこれにも既にワクチンができていますし、タミフル内服や、リレンザ吸入等を行って、初期の段階から全身管理をすれば、死亡率を減らすことは出来ます。

  次に新型インフルエンザですが、どのようなものが発生するのかわからないのが怖いところです。 鳥インフルエンザが新型インフルエンザの前兆ではないかと有力視されています。 今のところ鳥から人への一方通行の感染が報告されているだけですが、ベトナムで家禽類から感染した人の周りから感染者が出たときには、 とうとう人から人へ感染したのではないかと疑われましたが、全員同じ型のウィルスであったことからヒトヒト感染ではなかったとされました。 ウィルスは変身が得意で、私たち人間が新薬で手を打っても更にそれに耐えて生き延びる新型に変異するのが最も怖いところです。 もし変異株が見つかっていたなら、まさしくプレパンデミックの事態になっていたでしょう。

  このような事態に備えて、国や地方自治体では、感染症危機管理ネットワーク体制を整えて来るべき流行を最小限に抑え、封じ込めるよう国内外の監視体制を強固にしています。 パンデミックは、地震などのように突然発生するのではなく、どこかで起った後やってくるものですから、およそ1ヵ月位の猶予はあるわけです。 ですから正しい情報を迅速に共有し、有効な準備をすることが出来ます。

  人間は、これまで幾度となく未知の微生物と戦って克服してきたのですから、大流行の規模を最小限にとどめる事は、可能だと思います。 そのためにも日頃から、うがい手洗いを励行し、マスクの着用で咳エチケットを心がけるようにしましょう。 この季節、体を冷やさぬよう、よく食べて睡眠をとり、ウィルスが近づきにくい心身のバランスを保ちましょう。 どうぞ皆様お元気でお過ごしください。

  最後に先の講演会で演者が、フランクリン・ルーズベルト大統領が大恐慌にあえぐ国民に訴えた言葉を引用したのを紹介しましょう。

「 恐れるべきは、恐れそのものである 」
(Only thing we have to fear is fear itself.)


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