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 コラム 第53回     2008. 11. 20

日本歯科医学会のお話

 急に寒くなってきました。皆さん風邪をひかぬように、うがい、手洗いを励行しましょう。空気が乾燥していると、鼻や咽喉の粘膜も乾いて,細菌やウイルスが侵入しやすくなりますから注意しましょう。

 先週末4年に一度の日本歯科医学会の総会が、横浜みなとみらいのパシフィコ横浜で開催されました。世界の歯科関連企業が出展するデンタルショーも同時に開催されたためか、横浜ランドマークタワーからみなとみらいの会場へ向けては、人の流れが絶えることなく続いていました。歯科に係わる仕事をしている仲間が、こんなにたくさんいるのかと頼もしく感じてしまいました。

 学会発表のほうでは、現在の日本の歯科界の流行りというか、人気のインプラントや審美歯科治療に関する発表が目立ちました。インプラントに関連する発表も、埋め込むインプラント体の形状や種類に関するものは少なくなり、埋め込む手技に関するものが多くなっていました。何処に埋め込むかや、埋め込む場所を作ることや、手技を確実なものにするための断層写真や、三次元解析装置の新製品の紹介などでした。また審美歯科に関連するものとしては、ホワイトニングや、セラミックやレジンなどの材料による歯牙天然色の再現法などでした。

 今回私が注目して聞いてきたのは、口腔がん検診と歯科衛生士による摂食嚥下の機能訓練に関する発表でした。口腔がん検診の講演は、私の同級生が座長でのセッションでしたので、応援のつもりもあって聞いてきました。私が行っている定期健診でのチェックや、粘膜疾患が疑われた場合の細胞診の依頼先での診断の流れなどを見させてもらいました。いつも私のところの患者さんのことで連携している同級生がとても頼もしく見え、今後も安心して依頼できると嬉しい気持ちになりました。一方歯科衛生士による摂食嚥下機能訓練の発表は、講演の内容もさることながら、あとの質疑応答の活発なのに驚きました。単に口腔衛生指導にとどまらず、機能訓練を歯科医師の指導の下で、作業療法士や言語療法士などの他職種と連携して、リーダーシップをとって積極的に行いたいとの強い思いが伝わってきました。

 デンタルショーのほうも今の歯科事情に沿った内容の展示が多く見られ、一通り全部見て回ってきました。私が術者可撤式補綴の治療で使用しているネジを作ってくれている、スイスのCMという会社も出展していました。この会社のブースに行くと、今回はスイス人の社長さん自らセールスに来ていました。家内と娘を連れてスイスの会社を訪ねたときから親しくしているマネージャーが、いつも日本のデンタルショーのときに来日しているのに見当たらないので、彼は?と聞くと病にかかり車椅子の生活になったと聞かされました。気さくな人で私の話を一生懸命聞いてくれて、白金加金合金のネジを作るよう会社に働きかけてくれた恩人がそんなことになったとは、残念でなりません。

 いろんな人の助けを借りながら、日々の診療が出来るのだとの思いを強く持った週末でした。少し疲れましたが、また頑張らなくてはとの気持ちを持って帰ってきました。



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