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 コラム 第51回     2008. 9. 25

歯科インプラントのお話

 最近は、めっきり涼しくなってまいりました。紅葉の季節ももうすぐそこに来ているようです。秋は学会も多く、出来る限り出席するようにしています。しかし最近は時間的な余裕がなくて、地方の学会に参加することがなかなか出来ずに、都内や近県(殆んどが横浜ですが)ばかりで気分転換が出来ないのが残念です。それでも学会場で、同級生や先輩後輩の懐かしい顔を見ると、嬉しくて近況報告や、意見交換などに花が咲きます。

そんな中から最近の歯科界の傾向を少し考えてみました。ここ数年、歯科インプラントに関する演題が6〜7割を占めるようになりました。十数年前までは、欠損部分を補う手段の一つに加えると、治療の幅が広がると言うぐらいでした。しかし今では、インプラント治療を勧める歯科医が随分増えてきました。

 近年、これほどまでに歯科インプラントが流行っていることを考えてみました。大きな変換期は、スウェーデン人の外科医が骨癒着型のインプラントを発表してからになります。それに伴って成功率の高い製品が出来たことも、これにいっそう拍車をかけたことは間違いありません。インプラントとは、骨に穴を掘ってインプラント体つまり人工歯根を埋め込むわけですから、それだけの骨の量が必要になります。以前は、レントゲン写真を撮って二次元的に植える位置を決めていたのですが、今は、三次元的な解析装置が開発され、最適な植立部位を決められるようになりました。更に埋め込むに足る骨がない場合には、どこか他の部位の骨を移植したり、人工骨を置いて骨を誘導したりと、外科手術がどんどん進化して、最近では、埋め込める部位が拡大してきました。そしてインプラント体が骨と癒着した後、その上部に作る歯の形態や噛み合わせ方の研究も盛んになりました。また、術後に長持ちさせるために歯周組織の管理が欠かせませんので、インプラント周囲組織の研究や、定期健診の大切さが認識されるようになりました。こうして見てみますと歯科インプラントの発達は、歯科医療に大きな変革をもたらしました。これは、素晴らしいことだと思います。

 しかし、インプラントは、生体にとって異物であることを忘れてはいけません。インプラント治療を受けようとする患者さんは、ご自分が歯を失った原因はなんだったのかを考えて、治療を受けるべきでしょう。そして今現在、衛生面の管理が確実に出来ているでしょうか、非喫煙者でしょうか。年齢や全身疾患の有無など、インプラント体を埋め込む手術に耐えうる体力があるでしょうか。治療を行った後は、一生涯にわたって、きちんと定期健診を受けられるでしょうか。

 変革には、プラスの面とマイナスの面が存在し、両者を天秤にかけて選択されるのが望ましい治療となります。私は、解決しなければならない問題がまだまだ沢山あると、感じています。ですから現段階では、私自身がインプラント治療を受けたいとは思いませんので、今後の研究に大いに期待をしたいと思います。

 秋空の下学会に参加して、更なる情報収集に努めてゆきたいと思っております。


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