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 コラム 第38回     2007. 8. 27

暑さ対策のお話

  毎日暑い日が続きます。日本の気温が40度を超えるなどとは、思いもしませんでした。 この暑さで体調を崩された方も大勢いらしたことでしょう。 こんなときは、老若男女を問わずくれぐれも無理をしないでください。

  この夏休み、私は涼を求めて長野県の白馬に行ってきました。 久しぶりに家内と二人で山歩きをしてきましたが、年輩の登山者が多いのにはびっくりしました。 私たちは、ナップサックを背負った程度の軽装で行ったのですが、本格的な登山姿の方が大勢いらっしゃいました。 勿論そんな方たちは、私たちが目指したゴールよりも更に奥へと進んでいかれました。 日ごろ運動不足の私たちは、汗だくでヒーヒー言って登ったのに、明らかに私たちより年輩の人たちがケロッとしているのには驚きでした。 結構きつかったのですが、目的地に着いたときに見えた白馬の大雪渓には、とても感動しました。 色とりどりの高山植物に囲まれて目の前に広がるパノラマは、まさに絶景でした。 これを観ながら、中にはリュックの中からコンロを出してお湯を沸かし、本格的にコーヒーを入れている人もいました。 美味しそうに飲みながら語っていて、とても楽しそうでした。 私たちはといえば、汗を拭き拭き持ってきたペットボトルのお茶を飲んで、ベンチに座って黙ってこの素晴らしい景色を目に焼き付けながら、 帰り道の事を考え、汗が引いて脈拍が元に戻るまでただひたすら余力を蓄えておりました。 そんな状態での山歩きでしたが、東京に戻った今でも目を瞑るとあの素晴らしい自然に囲まれた時のことが浮かんできます。 あのときの苦しさも忘れて、また行こうねと話し合っております。

  さて皆さん、こう暑いときは涼しいことを考えるのと同時に、体が訴えているサインを見逃さないようにお過ごしください。 熱いときは、体の中にこもる熱を放散させるために、血液が体中をどんどん駆け巡るので脈拍が上がり、体温も調整されます。 しかし体温より高い気温や炎天下ではどんなに血液が体を駆け巡っても体温は下がりません。 そこで人は汗をかいて体表から放射冷却で、体温を下げようとします。 そういうときはなるべく日陰で扇子を使って風を送って、体表温度を下げるようにしましょう。  冷房の効いたところで過ごせるときはよいのですが、戸外で熱中症から身を守る手段として、太い血管を冷やすのがとても有効です。 比較的体表に近いところを流れている動脈は、首の回り、腋の下、内股ですからここを冷やすのが効率的です。 更に、皆さんもよくご存知のように、水分補給が重要です。 水分補給は、脱水症状を起さないようにするためだけでなく、冷たいものを飲んで体の中から冷やす効果もあります。

  そして口の中も、体温の変調のサインが現れるところです。 風邪などで熱を測るとき、腋下や、舌下に体温計を入れて測りますが、これは体中を巡る血液の温度を測っているのです。 舌下粘膜は、そのすぐ内側の浅いところを太い血管が流れています。 舌を持ち上げて裏を観てみてください。 昔忍者がとらわれたとき、自殺の手段として舌を噛み切ったことをお聞きになったことがお有りだと思います。 癲癇発作(てんかんほっさ)など舌を噛みそうな恐れのあるときには、口枷を入れます。 舌を噛むとそこから溢れるように血液が噴出して、失血死してしまうというのでは無いのです。 口腔内は、唾液で常にぬれている状態ですので、太い血管が切れたときは、血が止まり難いのです。 ですからだらだら流れた血液が固まらずに流れ出て失血するか、ゼリー状になって喉に詰まったり肺に入り込んで窒息死してしまうのです。

  少し怖い話になってしまいましたが、舌下の血管は粘膜のすぐ下で、そこから成分が吸収されやすく即効性が期待できるので、 狭心症の発作時などに舌下錠を使うのです。 舌下で体温を測るのもすぐに正確に測れるからなのです。 口の中が生ぬるく感じたりしたら、舌下に氷を含むと気持ちがいいです。 そして涼しい場所で水分補給をして、大の字になって寝るか、首回り、腋の下、内股を冷やしてみてください。 体の火照りがスーッと和らぐのがお解かりになると思います。今度試してみてください。

  この暑さもまだ少し続きそうです。さあ自己防衛策を講じてこの暑い夏を乗り越えましょう。


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