ホームへ > 院長のコラム最新号へ

 コラム・バックナンバー・インデックス

 コラム 第37回     2007. 7. 25

ウエルエイジングのお話

  梅雨前線の停滞で九州地方に大雨を降らし、土砂崩れや浸水の被害をもたらした直後に、台風4号が日本列島を駆け抜けていきました。 またそのすぐ後に新潟中越沖地震があり、多くの方々が自然災害に見舞われたここ数日間でした。被災地の方々には、心からお見舞い申し上げます。

  このような状況におかれたとき、特にお年を召した方は若い方と比べて数倍も数十倍もお辛いと思います。 これから先は、様々なストレスがかかってきます。どうか抱え込まないで多くの善意に甘えてください。 それと、何においても昔取った杵柄といって、頑張りすぎないでください。 後に来る肉体的、精神的疲労は、想像以上のものがおこります。 老若男女を問わずPTSDは経験した者にしかその辛さは、説明できません。どうかお大切になさってください。

  さて、老いるという事は、自然の摂理で避けられないものであります。 人間は誰もが、老いを恐れ嫌い、少しでも若くありたいと思うものです。 同じ年の人と比べてどちらが若く見えるかを尋ねたり、自分はあの人よりは若く見えるだろうと思ったりと、若くあることに優越感を感じたりしながら、 「老いぼれ」などという言葉もあるように、老いることに劣等感を持ったりします。 一方、「老いらくの恋」とか「老いて益々盛ん」とか、若さを保とうと努力をしてしまいます。 しかしこれらの言葉は、若い人の目線で言われることで、当事者にとっては嬉しくない言葉ですし、 なんだか馬鹿にされたような気持ちを持たれているようで嫌な表現であります。

  最近では、アンチエイジングという言葉をよく耳にします。これも若い人の目線の言葉だと思います。 私はあんな風にはなりたくないから、若いうちから頑張って年寄りといわれないようにしようという発想から生まれた言葉だと思います。 若さを保とうとする事は、とても大切なことです。 しかし「アンチ」は抵抗するという意味を持っていることに、私は些か疑問を感じます。 第35回のコラム「ライフサイクルのお話」でご紹介した吉田寿三郎先生は, アンチエイジングという言葉が流行りだす何十年も前から、ウエルエイジング協会という学会を作り、上手に老いと向き合うことを提唱されていらっしゃいました。 私も正にそのとおりだと思います。 身体的な老いを感じる時期に来ても、知力はまだ老いていないという状況で、アンチエイジングという言葉を使うと、「年寄りの冷や水」などと言われかねません。 老いとどう上手く付き合うかが大切で、老いに抵抗するのはあまり好ましくないと思います。 「年相応」という言葉があるように、何事もアンバランスは良くはありません。 身体の加齢変化は、抗し難いものですが、これを少しでも遅らせることはいろんな努力で可能です。 たとえば日々の運動、食事、睡眠、そして何よりもストレス解消でかなりの効果が期待できます。 運動といっても激しい運動は返って逆効果にもなりかねません。 食事も規則正しくバランスのよいものをよく噛んでいただく事です。 そして風呂に入り、一日の汚れを落として体を綺麗にして、勿論歯も綺麗にして休んでください。

  年を重ねるごとに磨きがかかって、魅力的な中高年になりたいと思います。 加齢に抵抗するアンチエイジングではなく、上手に年を重ねていくように、つまりウエルエイジングの姿勢でゆこうと思っています。

このページの上へ↑

Copyright(c) 2004-2020 Katayama-shika. All rights reserved.