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   コラム 第10回    2005.4.20

 口臭について

 長かった冬もやっと終わり、過ごしやすい季節になりました。水道の水も刺すような冷たさが無くなり、歯のお掃除もしやすい温度になりました。 皆さん上手に歯ブラシが出来るようになりましたでしょうか。今月は、ちょっと気になる「口臭」について書きましょう。

 どんなに歯磨きに励んでも私たちの息には臭いがあるものです。その臭いが何かの原因で増大すると人を不快にし、悩みの種となってしまいます。そして人の臭いは気になっても自分のは気づかないことが多いのも口臭です。先ず口臭は、どうして起こるのか考えてみましょう。

 口腔内の汚れは、単に細菌だけではなく表層から剥がれ落ちた粘膜上皮、歯肉溝から出てきた血液成分や膿、細菌の屍骸等があります。これらの多くが舌の上に集まり、細菌の持つタンパク分解酵素によって分解され、主に二種類の化学物質を発生させます。その化学物質とは、硫化水素とメチルメルカプタンです。この臭いが、いわゆる口臭となります。舌の上には、舌乳頭と言って味覚を感知する細かい襞状の凹凸が存在し、その凹凸の間に汚れが溜まって同時に新たな細菌も繁殖します。また舌乳頭は、口腔内が不潔になっていると襞が伸びてますます汚れが溜まりやすい環境になります。舌の先端部分はよく動くのであまり汚れが停滞しませんが、舌の後方2/3に舌苔として停滞します。実際には、舌の上が白く見えるのが舌苔のついた状態で、そんな方は口臭要注意です。

 歯磨きや義歯の洗浄と一緒に舌の清掃をすると口臭退治にはとても効果があります。舌清掃具もいろいろ市販されていますが普通の軟らかめの歯ブラシでよいでしょう。ただ舌は大変デリケートでむやみにブラシをあてると傷つけることになるので専門家の指導を受けましょう。舌の上が白いのは、歯ブラシと嗽をよくすることで口腔内細菌が減ってかなり解消されます。

 口臭の原因には他に、タバコやコーヒーなど嗜好品の臭い、歯槽膿漏の出血や膿の臭い、むし歯の臭いが挙げられます。前にも書きましたが歯槽膿漏の臭いは特に強烈です。

 さらには、口腔内以外の場所、つまり鼻、咽喉、肺、胃などからの臭いもあります。鼻の場合は、鼻づまりや鼻蓄膿症、副鼻腔炎などからの膿や血液の分解された臭いが挙げられます。咽喉の奥からの臭いは、咽喉に炎症を起が起きている時や、高齢者で嚥下機能の低下した方が気管支と食道への分かれ道に食物残渣が溜まって発酵した臭いがあります。そして胃からは、胃潰瘍から出た血液や胃粘膜が剥がれて分解された臭いがあります。また女性の場合はホルモンの影響で、排卵日前後や月経中に臭いが増します。

 その他に人の口臭が気になると、嗅覚の残りで自分も同じ臭いを発しているような錯覚に陥ることもあります。多くの場合は、歯をよくお掃除し嗽をよくして自分は臭いを出さないように気をつけることで治まります。しかし、これが嵩じて、精神的に病んでしまうことも稀ではありません。自分の息が臭くていつも人に迷惑をかけているのではないかと思い込む自臭症という心の病です。

 口臭は、体のどこかに潜む異常のサインでもあります。口臭が気になるときは放っておかずに先ず歯科で調べてもらいましょう。その原因が最も多く考えられる歯科を受診してから、他からの臭いを疑うのがよいでしょう。

 さて、臭い消しに昔から仁丹が有名ですが、最近はコンビニなどで、口臭を消す薬をよく目にします。葉緑素や、タンニン酸、ハッカなどが代表です。ほんの数分の間は確かに口臭はおさまりますが、程度によってすぐまた臭い出します。やはり原因は元から絶たないといけませんが、臭いの強い食事の後や日常生活をしていてどうしても気になる時に、一時的に使用することとしての効果はあるようです。唾液の流れが少ない時、即ち寝て起きた時、黙っている時間が長かった時、緊張して話しをする時などは、どんなに口腔ケアが出来ていても少しは臭うものです。そんな時に一時的な消臭効果を期待するのに使ってもよいでしょう。
でも毎日の歯のお掃除と嗽が口臭を防ぐ何よりの近道です。そして定期的な検診とプロフェッショナルクリーニングで爽やかな息を保ちましょう。

 ここ3回に渡って口腔清掃の大切さを書いてきましたが、日頃の努力がどんなに大切かお解り頂けたでしょうか。努力を続けるうちにあたり前の「習慣」になれば口腔ケアはとても楽なものになります。「若さの秘訣」のところでも書いてありましたように、口腔ケアをして唾液をよく出して自己免疫力を高めましょう。


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